【復刻版 さきたま新聞ブログ】桜の下の自分に会いにゆく

咲いた 咲いた 桜が咲いた
2010年4月
掲載写真は2010年4月21日撮影
 一仕事終えて、胸のつかえも何とかとれた、待ちに待った四月最初の週末でした。好天に恵まれて、この日にやりたいなと思っていたことはすべてクリアー。桜の花も一気に開いてポカポカした陽気のもとで、会いたいなあと思っていた方とはすべて会うこともできました。
 土手の桜はあと一週間楽しめそうでした。土手沿いのギャラリーで観た創作版画は実にしっかりしたかたちを刻んでいました。色も褪せずに残っていた宝もの。大正の頃の青年のあついパッションに触れることのできる幸せにしみじみと打たれます。
 透明感のある珈琲を戴いて「幸せな時間をありがとう」と呟いた喫茶店。マスターは何処で出会ってもいつも同じ顔で微笑んでいます。いいなあ。
 石上寺は暫く行かない内に、本当に綺麗になっていました。熊谷桜は盛りを過ぎたけれども、石段脇で華やかに咲く大きな桜の木がピンク色に染まっています。星渓園脇の小径を行くと熊谷草が元気に葉を広げているのを確認できました。
 熊谷寺も蜜柑と桃の花が青い空に映えます。大きな建物の新築工事や植木の整備もすっかり終わったのはいいのだけれども、物々しい囲いも新しくなって、門を閉ざしているのはちょっと寂しいかな。
 星川の端に春の花たちが咲いています。今日行われた「駅からハイキング」に来た方でしょう、マップ片手に歩く人の姿も見受けられました。駅コンコースで「フローラル・フェスタ」物産展が開かれていたのも去年と同じ光景です。熊谷に初めて来たお客さま達にはこの街はどのようにみえたのでしょう。 
 今日は「駅からハイキング」も「熊谷ミュージックコレクション」もパスして、映画を観ました。本当は熊谷市のPR映画を観るつもりだったのですが、残念、昨日まででした。
 ……うーん、その時間に合わせてあちこち駆け足で回ったのだけれど、仕方ない。「NINE」を観ました。
 この映画、とってもよかったです。映画の夢、男と女の愛、親子の愛、神への愛、創造すること・・・  そんなことが綴られた胸に突き刺さる映画でした。豪華な顔ぶれの女優陣の魂から絞り出すような歌と踊りの数々。衣装もロケ地もとびっきり素敵な「ビバ・イタリア」。モノクロとカラーの映像がフラッシュバックして、本当にワクワクするような夢の世界でした。それと同時に涙もこぼれました。愛は残酷。だけど、映画ってなんていいものでしょう。生きることがこわくなくなります。イタリアの伊達男と恋をしたいなあ。なんて、ちょっと不埒な気分になって、夜桜をみることもできました。
 帰ってから少しワインを飲みました。これは一昨日から読み始めた「武器よさらば」の余韻。主人公はお酒ばっか飲んでいるんですもの。でも、飲んでからも家事もちゃんとやりました。その後でテレビをつけたら「美の巨人達」で平山郁夫のことをやっていました。途中からしか見られなかったけど、でもよかった! こちらは仏教との出会い。そして自分との出会い。
 「自分で自分の道をみつけなさい」これは映画の中で、ママの役のソフィア・ローレンが言う台詞です。そうだよな。自分でやらなくちゃ。「大切なのは笑い、大切なのは愛、大切なのは夢」、そうだよな。春の夜が更けていきます。

2010年4月21日石上寺